時刻表ひとり旅 (講談社現代新書 620)



時刻表ひとり旅 (講談社現代新書 620)
時刻表ひとり旅 (講談社現代新書 620)

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時刻表を味わう

 鉄道紀行作家の宮脇氏が、時刻表の魅力を人々に伝えようとして書いた本。自由な紀行文ではなく、テーマが決まっていたためか、他の著作に比べるといささか落ちるように感じた。とはいえ、ユーモアのある文章は健在。
 内容は、時刻表の読み方、鉄道ダイヤの組み立て方、実際に列車に乗ってみる、国鉄への要求など。なかでも鉄道ダイヤの話はすごい。こんなに苦労してつくられていたのかと思う。
 執筆から四半世紀以上を過ぎた現在では、国鉄がJRになったことをはじめ、新幹線の進捗、地方ローカル線の廃線など、数多くの変化が起こっている。そのあたりを比較しながら読むのも面白いかも知れない。
時刻表を「読む」ための入門書

根っからの鉄道ファンで鉄道紀行文学の大家である著者にとって、分厚い時刻表は必要な列車を「調べる」ための単なる手段ではなく、一見無味乾燥な数字の羅列からダイヤを作成した人々の努力、わが国の多彩な国土の風景、百年を越える鉄道の歴史までを想起させてくれる立派な「読み物」である。

私も、小学校のときにこの本を読んで見事に感化され、以後大人になった今に至るまで、深遠なる時刻表の魅力に取りつかれた者の一人だ。

宮脇氏の初期作で、筆者が一生の趣味としてきた時刻表の世界への深いこだわりの集大成である。列車や鉄道路線を擬人化し、主役として見事描いてしまう技量を持つ作家が、今後筆者の他に現れるであろうか。



講談社
乗る旅・読む旅 (角川文庫)
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