わが半生―「満州国」皇帝の自伝〈上〉 (ちくま文庫)



わが半生―「満州国」皇帝の自伝〈上〉 (ちくま文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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中国近現代史を研究する人は必読

 中国近現代史を生きた溥儀の自伝。大変に興味深い。

 皇帝の地位をはく奪された後、復活にありとあらゆる策略を練った日々。そして、日本軍の計画に乗り、「満洲国」皇帝となるために中国東北地方で暮らした日々。
 最初に読んだとき、私はなぜそんなに皇帝の地位にこだわるのか解らなかったが、今となると祖先から受けつがれた地位をなくしてしまった一族の悲哀をひしひしと感じる。

 後編では共産党の意向にそった内容となっている。
 ソ連と中国での捕虜生活が書かれているが、ソ連での捕虜生活は何の収穫もなく、中国での生活で人生が変わったという感想は、新中国で一市民として生きることに必死だった彼の姿が想像できる。

 自分で人生を切り開くことができず、ほんろうされるばかりだった一人の人間の悲哀を深く感じる。
読む価値◎

溥儀が中国共産党の下執筆した文章を、「人民文学」の編集者・李文逹なる執筆者がまとめたもの。李文逹は後年、経済開放下の中国で当書の著作権を要求をしている。この辺りを念頭におき、他の関連本と併せて読むことが、溥儀の内面洞察の近道ではないかと感じた。また、本文中にある溥儀の心理描写をよく理解できるかとも感じた。

即位後3年で廃帝となった清朝第十代皇帝・溥儀の皇帝復辟への並々ならぬ執着と傀儡満州国の皇帝を経て中国共産党下で10年の戦犯投獄生活から心中平穏な人生へと導かれる溥儀を通して、近代中国史を疑似体験することが出来る読み応えのある逸品かと思う。



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