わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡 (中公文庫)



わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡 (中公文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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この1冊でコシモ・メディチ以降のフィレンツェ共和国の歴史がわかります。

イタリアの都市国家、なかでもルネサンスの中心となった共和国として、フィレンツェとヴェネツィアの歴史はおさえておきたいところです。後者に関しては同じ作者に「海の都の物語」という大作・好著があり、それがカバーしてくれますが、前者、特にコシモ・メディチが実質的に支配するようになって以降の歴史は、解説をいれて629ページに及ぶ本書がカバーしてくれます。というのは、本書はマキアヴェッリがフィレンツェ共和国の官僚として、そして失脚して以降の本人の言動を中心にすえて彼が活躍した時代を生き生きと描くとともに、その前後の歴史、つまりマキアヴェッリが生まれる前、生まれてから官僚に登用されるまで、そして死後フィレンツェ共和国がトスカーナ大公国になってしまうまでの歴史も簡潔に記してくれているからです。この構成が素晴しい。

マキアヴェッリ本人は有能だが、決して権謀術策の人ではなく、まさに「わが友」と呼びかけたくなる人間味あふれる人物だったことが本書でよくわかります。特に失脚中に、夜書斎で読書、つまり古の人と対話をするときにわざわざ官服を身につけていたという冒頭のエピソードが感動的です。わが国の漢詩に「一穂の青燈万古の心」という読書の醍醐味を集約した名句がありますが、それに通じます。歴史ものの読書を愛する人にとって、このエピソード一つとっても「わが友」と呼びかけたくなる人物にマキアヴェッリが思えてきませんか。
市民として生きること

権謀術数の代名詞として恐れられるマキアヴェッリが、実際にいかに生きたか?フィレンツェの一市民として、とくに後半生は文筆で名を成しつつありながらいわば「札付き」とされ零細な暮らしを続けながら、どのように所属する共同体に責任を持ったか、あなたは知っていますか?

理由もいらない祖国への愛情と、その愛ゆえに斜陽の祖国をとりまく厳しく冷酷な現実を直視するという、矛盾する二つのことを、ユーモアと皮肉で包みながら真摯に語った男。

何よりもマキアヴェッリの人間性への愛で成り立つ物語。拙く言えば、ルネサンス人ならではの固有でありながらそれを超えていく普遍性が、過不足ない十分なスケールで書かれた歴史物語です。
愛すべきマキャベリ

存亡の危機にあるフィレンツェで、 どうにかフィレンツェを盛り立てようと 一所懸命考え行動するマキャベリの姿 が生き生きと描かれている。 その姿に敬意の念を覚える。



中央公論社
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